“みんなと同じ”がイヤな花嫁様へ~まだ少数派の「仏前式」のススメ~
東京オリンピックを目前に控え、最近ますます「和」の文化に注目が集まっています。しかし、こと結婚式においては、チャペルでの教会式が半数を占め、次いで神社や神殿での神前式、あるいは出席者の前で愛を誓う人前式スタイルが選ばれています。実はもう1つ、日本古来の仏前式というスタイルがあるのをご存知でしょうか。もちろん神前式も「和」ではありますが、仏前式は、さらにもう一歩踏み込んだ世界のようです。まだまだマイナーな仏前式という挙式スタイルを紹介します。
◇仏教の教えに基づいた挙式スタイル
「仏前式」は、文字通り仏様の前で行う結婚式です。2人が出会ったご縁に感謝して、仏様と先祖に結婚の報告をするというもの。「誓う」のではなく「報告する」という点が、仏前式のいちばんのポイントでしょう。
そもそも仏教には、「2人の結婚は前世からの縁であり、先祖の導きによるもの」という教えがあるからです。
そういった背景から、出席者は親族限定とされる場合がほとんどです。先祖代々を祀る菩提寺や、先祖や両親にゆかりのある寺院の本堂で執り行われます。
ちなみに戦前は、新郎の自宅に僧侶を招き、仏壇の前で執り行うことも多かったようです。新郎が僧侶の場合も、当たり前ですが仏前式で行われます。
◇実はロマンチックな仏前式
2人の結婚は前世からの縁だなんて、なんともロマンチックではないですか?
しかも、仏教には「結婚相手とは来世も連れ添う」という教えがあるのです。前世から現世だけではなく、来世までも……これがいわゆる「因縁」(いい意味で!)というものですね。
お相手のことが好きで好きでたまらないっ!という人には、仏前式の結婚式を選んでみてはいかがでしょう?
◇二人の宗派が違う場合は?
二人の宗派が違う場合は、どちらか一方の宗派に合わせます。誰かが反対することもありえますので、親族も含めてしっかりと相談のうえ決定してくださいね。
なお、思い出の地や有名な寺院で結婚式を挙げたいと思っても、そもそも新郎新婦が無宗教である場合、あるいはその寺院がどちらの宗派でもない、という場合も考えられます。しかし、意外にも名前を聞けば知っているような大きな寺院ほど、「宗派や宗教に関わらず、挙式も受け付けています」という場合が多いのです。まずは寺院へ問い合わせを。
◇誓いの言葉はないの?
教会式のような「誓いの言葉」がない代わりに、新郎が代表で読み上げる文言があります。内容は宗派やお寺ごとに異なりますが、あらかじめ決まった文言が用意されているので、負担や緊張は少ないでしょう。
◇指輪の交換はないの?
仏前式では僧侶(導師)から数珠が授けられます。「念珠授与」という儀式で、仏前式ならではの進行でしょう。なお、この数珠は寺院からの結婚祝いとしていただけるものです。新郎は白・黒・茶系の数珠で、新婦は赤・ピンク系の数珠が一般的。こだわりがあるなら、自分で用意しても構いません。
では、指輪交換はないのか?というと、昔は確かにありませんでした。しかし最近では、結婚指輪をつけることが当たり前になっている風潮から、念珠授与と共に指輪交換も行われています。
その後、三三九度の杯を交わす儀式や、導師による読経、説法などが行われます。
中でもいちばん驚くのが「お焼香」。お葬式みたいだと思われるかもしれませんが、大切な儀式の1つであり、仏様の目前で粛々と行われるので、とても厳かな気持ちになるのです。
◇ 仏前式は費用が安い
仏前式の挙式料は、10~25万円程度と、かなりお安い設定になっています。その理由は、仏前式(結婚式)を行う寺院は結婚式専門ではなく、あくまでも仏教的な活動の一環として結婚式を行っているから。つまり、営利目的ではないためです。
ただし、衣装・着付け、メイク、写真代などは含まれていませんのでご注意を。
大きな寺院の場合は衣装屋と提携している場合もありますが、基本的には新郎新婦が手配しなくてはいけません。寺院に着替え室が用意されていない場合は、披露宴を行う会場で花嫁衣裳に着替えてから寺院へ出発する、というケースが多いようです。
それでも相対的に安い費用で結婚式を挙げられるので、金銭的な負担が減りますよね。これも仏前式の大きなメリットではないでしょうか。
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日本の原風景を感じながら、何百年という歴史ある寺院で行う仏前式。他のどんな挙式スタイルよりも厳かな気持ちになるでしょう。まだまだマイナーな仏前式ですが、今後は和ブームに乗って急増するかもしれませんね。